「陸上は身長が高いほうが有利?低いと不利?」と誰しも一度は考えたことがあると思います。
スポーツについて考えるうえで、やはり身長や体重は切っても切り離せない要因です。
特にサッカーやバスケットボールなどは、身長が低いだけでセレクションから足切りされることもあります。
僕も中学までサッカーをやっていたので、こういった話はよく耳にしていました…!
そんなスポーツと身長・体重の関係について、今回は陸上競技に焦点を当ててお話していこう思います!
身長差による有利/不利はない
結論から言うと、身長差による有利・不利はないと考えていいです。
世界のトップランナーたちを見れば分かりますが、彼らの中には高身長のランナーもいれば低身長のランナーもいます。
- エリウド・キプチョゲ 選手 167cm/52kg
(男子マラソン世界記録保持者) - モハメド・ファラー 選手 175cm/58kg
(2012ロンドン五輪&2016リオ五輪 男子5000m・10000m2連覇) - ゲーレン・ラップ 選手 180cm/61kg
(2012ロンドン五輪 男子10000m銀メダリスト) - ヨミフ・ケジェルチャ 選手 186cm/58kg
(2019ドーハ世界選手権 男子10000m銀メダリスト)
つまり、自分の身長に合わせたカラダ作り・走り方を身に付けることができれば、タイムを伸ばすことは十分可能なのです!
では、具体的にどんな身体や走り方が最適なのか?高身長ランナーと低身長ランナーのケースごとに、それぞれ紹介していこうと思います。
身長別カラダ作り・走り方
高身長ランナーの場合
結論から言うと、身長の高いランナーのBMI*は低いほうが良いと言えます。高身長のランナーは体重が重いと速く走りづらくなるからです。
- BMI(Body Mass Index)=ヒトの肥満度を表す指数のこと
- 体重(kg)÷身長2(m2)で求められる
- WHO(世界保健機関)による基準は以下の通り
- 18.5未満=低体重
- 18.5以上〜25.0未満=標準
- 25.0以上〜30.0未満=太り気味
- 30.0以上=肥満
走る際に「脚を回転させるのに必要な力の量のこと」を「慣性モーメント」というのですが、身長が高いランナーは比較的手足が長いため「慣性モーメント」の影響を受けやすくなります。
例として、”旗振り”をイメージしてもらうと分かりやすいと思います!
応援団が使うような大きな応援旗であれば旗を振る際に最初に大きな力がいります。
一方、子どもでも振れるようなミニフラッグであれば小さい力で旗を振ることができますよね。
これと同じで、人の身体も手足が長く重いと走り出すときに大きな力が必要になるのです!
そのため、高身長の長距離ランナーはあまり体重を増やさないほうが良いでしょう。体重が重いと一歩踏み出すのに、より多くのエネルギーが必要になってしまいます。
身長が高いランナーはストライドが大きい分、ピッチを抑えることができます。せっかく体格に恵まれたのであれば、自分の身体を活かした走り方・カラダ作りを身に付けるべきです!
低身長ランナーの場合
高身長ランナーとは逆に、身長の低いランナーはBMIは高いほうが良いと言えます。低身長のランナーはストライドが小さい分、ピッチを上げて走る必要があるためです。
例えば、全員で5kmを走るとします。その際、「全員同じピッチ(歩数)でしか走ってはいけない」というルールを課したら、勝つのは一番身長の高いランナーになってしまいますよね。
ただ、実際は低身長のランナーでも高身長のランナーに勝てます。それはピッチが速いからです。
もし身長だけでタイムが決まるなら、桐生祥秀選手(175cm)よりも高身長のアスリートがとっくに日本人初の9秒台を出していたでしょう!
そもそもスピードというのはストライドとピッチを掛け合わせたもの。ストライドの限界は身長で決まってしまいます。ならば低身長のランナーが勝つにはピッチを上げるしかありません。
スピード=ストライド(一歩の歩幅)×ピッチ(歩数)
ピッチを上げるには筋量を増やしてパワーで走る必要があります。そのため、体重を落とすのではなく筋トレで筋量を増やしてBMIを高めに保つことをオススメします。
参考:エリートランナーのBMI
ちなみにトップアスリートのBMIは平均して17〜18くらいに収まると言われています。
テレビ越しでも一目瞭然ですが、やはりトップランナーの身体には無駄がありませんよね…
- 大迫傑 選手 170cm/52kg=18.0
- 高岡寿成 選手 186cm/64kg=18.5
- 野口みずき 選手 150cm/41kg=18.2
- 高橋尚子 選手 163cm/46kg=17.3
ただし、ムリにBMIを17〜18に持っていくことはオススメできません。急激に体重を落とそうとすると身体に大きな負荷がかかり体調を崩してしまう可能性があるからです。
また急激に痩せると本来必要な筋肉まで落としてしまい結果的にタイムが遅くなってしまうという可能性もあります。
速くなるために身体を絞ったのに、そのせいでトレーニングを中断したりタイムを落としては本末転倒です。目的(タイムの向上)と手段(BMIの調整)を履き違えないように気を付けましょう。
まとめ:自分に合ったカラダ作りを
ということで、今回はランナーの身長・体重の関係性についてご紹介しました。
ポイントをまとめると、
- 身長差による有利/不利はない
- 高身長ランナーはBMIを低く保ち、ストライドを活かす
- 低身長ランナーはBMIを高く保ち、筋力をつけてピッチを上げる
といった感じです!
成長期を過ぎると身長を伸ばすことは難しいし、逆に縮めることもできません。
であれば、変えられない要因に頭を悩ますよりも、皆さん自身の身体に合った走り方やカラダ作りを身に付けていく方が建設的です!
自分に合ったカラダ作りや走り方を身に付けて、自己ベスト更新を狙っていきましょう!
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