エナジードリンクに疲労回復の効果はあるのか?

食事・ダイエット

レース前やトレーニング後にエナジードリンクを飲む選手を、皆さんも一度は見かけたことがあるのではないでしょうか?

エナジードリンクは「疲労回復の効果がある」と謳われています。

しかし、本当にそのような効果があるのか?真偽のほどは定かではありません。

そこで今回は、「エナジードリンクに疲労回復効果はあるのか?」というテーマについてお話ししていきたいと思います。

結論:疲労回復効果は疑わしい

結論から言うと、疲労回復という点ではエナジードリンクの効果は疑わしいと言われています。

科学界でも賛否両論あると言われています。

なぜ、エナジードリンクの効果は疑わしいのか?

それには、以下のような理由が挙げられます。

アメリカと日本では成分が異なる

そもそもアメリカと日本では、同じメーカーの同じ名称のエナジードリンクでも成分が違うこともあります

とくにアメリカ発祥のエナジードリンクには、オリジナルには含まれている成分が日本版だと入っていないということが多いと言われています。

アメリカと日本のエナジードリンクの違い:タウリンの有無

アメリカと日本のエナジードリンクの違いの1つにタウリンの有無が挙げられます。

タウリンには疲労回復効果があると言われています。

アメリカのエナジードリンクにはタウリンが含まれていますが、日本版には入っていません

なぜなら、日本で合成タウリンの含有が認められているのは「医薬部外品」のみだからです。

エナジードリンクは「清涼飲料水」であるため、タウリンの含有は法律で禁じられています

栄養は食品・食材から摂取すべき

では、タウリンを含有しているエナジードリンクなら完全に代替できるかというと、そうでもありません。

やはり、栄養はなるべく食事から摂取すべきだと言えます。

なぜなら、食事からはその他の必要な栄養も摂取することができるからです。

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ちなみに、タウリンは「イカ・タコ・うなぎ」などの日本食材に多く含まれています

一方、エナジードリンクは液体であるため過剰摂取にもつながりやすいです。

タウリン効果の真偽

また、日本のスタミナドリンクには「タウリン〇〇mmg 配合!!」といったように、含有量が多いほど効果的であるかのように宣伝されているものが多くあります。

しかし、アメリカのアスリートやトレーニング関係者はタウリンを重視していないといいます。

むしろ、「タウリンによる疲労軽減効果を示したデータ・論文はない」「実験動物にタウリンを投与したところ、かえって行動量が減った」という報告さえあると言われているのです。

飲み過ぎで死亡したケースも

エナジードリンクには、1本あたり100〜150mg程度のカフェインが含まれています。

多量に飲みすぎるとカフェイン中毒を発症し、最悪の場合は死に至ることもあります。

実例:エナジードリンク常飲で20代男性死亡

2015年5月、長期にわたるエナジードリンクの常飲で20代男性が死亡したという報告がありました。

死因はエナジードリンクの過剰摂取によるカフェイン中毒だったといいます。

男性はシフトワーカーで、深夜勤務中の眠気覚ましのためにエナジードリンクを常飲していたといいます。

適切な1日あたりのカフェイン摂取量

欧州食品安全機関によると、適切な1日あたりのカフェイン摂取量(成人)は以下のとおりです。

適切なカフェイン摂取量(成人)
  • 1日400ミリグラムまで=コーヒー4〜5杯分
  • 1回200ミリグラムを超えないのが望ましい

1日コーヒー4〜5杯分となると、人によってはすぐに飲めると思います。

カフェインの過剰摂取には気をつけましょう。

メンタル的アプローチとしてのエナジードリンク

では、「エナジードリンクは一切飲んではいけないのか?」というと、そういうことではありません。

例えば、スタンフォード大学では清涼炭酸飲料の摂取が禁じられているそうですが、選手の中には試合前にこっそりエナジードリンクを飲む人もいるといいます。

ただし、その目的は疲労回復ではなくメンタルの安定保つためです。

人によってはどんなにトレーニングを積んでも、試合前には不安・緊張で心が揺れることもあります。

そこでエナジードリンクを飲むことで、「ここまで準備したのだから、きっと勝てる」といったマインドへ変化させていくのです。

このように、エナジードリンクも使い方次第ではパフォーマンス向上に有効な手段となり得ると言えるでしょう。

まとめ

エナジードリンクの効果については以下のとおりです。

エナジードリンクについて
  • 疲労回復という点ではエナジードリンクの効果は疑わしい
  • エナジードリンクの過剰摂取はカフェイン中毒となるので注意する
  • 疲労回復のためではなく、メンタル的アプローチとして飲む

あくまで、エナジードリンクを飲むか飲まないかを決めるのは個人の選択です。

この記事を参考に判断していただければと思います。

ただし、いずれにせよ飲み過ぎは避けましょう。

以上、Yでした!

今回の参考書籍

『スタンフォード式 疲れない体』(山田知生 著 サンマーク出版)

著者プロフィール
スタンフォード大学スポーツ医局アソシエイトディレクター、同大学アスレチックトレーナー
・スタンフォード大学スポーツ医局にて15年以上の臨床経験、同大学のアスレチックトレーナーとして最も長く在籍 

スタンフォード大学について
「世界最強のスポーツ大学」との呼ばれ、NCAA(全米大学体育協会)のランキングでは23年連続で総合1位を獲得

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陸上ブログの”Y-RUNNING.COM”を運営している” Y”といいます。詳しいプロフィールはこちら。この記事が気に入ったら、Twitterなどでシェアしてもらえると嬉しいです!

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