こんにちは、Yです。
浪人後に陸上サークルで1500m3分台・5000m14分台を出した方法や経験を発信しています。
皆さん、日々トレーニングをされていると思いますが、「そもそもタイムを伸ばすために、何を強化すればいいの?」と思ったことありませんか?

「どうやったらタイムが伸びるのか」が分からないと、トレーニングメニューも組めないし、モチベーションも上がらないですよね。
そこで、今回は「中長距離ランナーの能力を決める3つの要素」というテーマについて解説していきます。
長距離ランナーの能力を決める3つの要素
結論、長距離ランナーの能力を決める要素は以下の3つです。
- VO2max(最大酸素摂取量)
- LT値(乳酸性作業閾値)
- ランニングエコノミー
なぜ、この3つが重要なのか?そもそもVO2maxとは何か?
これらの疑問について、それぞれ解説していきます。
VO2max(最大酸素摂取量)
ランナーの能力を決める3つの要素、1つ目は「VO2max(最大酸素摂取量)」です。
そもそもVO2maxとは?
そもそもVO2maxとは何なのでしょうか?簡単にまとめると以下のとおりです。
- V=Volume(量)、O2=Oxygen(酸素)、max=maximum(最大限)
- 一定時間内(1分間)で、体重1kgあたり体内に取り込める酸素の量(ml/kg/分)のこと
- つまり、どれだけ多くの酸素を取り込めるか?を示す指標
なぜVO2maxが重要なのか?
では、なぜVO2maxが重要なのでしょうか?
- 筋肉内でエネルギーを生み出すには酸素が必要だから
- 3000mや5000mなど酸素消費量の多いレースでは、パフォーマンスに直結するから
そもそも、長時間走り続けるには筋肉を動かし続ける必要があります。
そして筋肉を動かし続けるには、筋肉内でエネルギーを生み出し続ける必要があります。
そのエネルギーを生み出し続けるために酸素を送り続ける必要があるのです。
だからこそ、VO2max(1分間に取り込める酸素量)が重要となります。
LT値(乳酸性作業閾値)
ランナーの能力を決める3つの要素、2つ目は「LT値(乳酸性作業閾値)」です。
LT値(乳酸性作業閾値)とは?
LT値とは何なのでしょうか?簡単にまとめると以下のとおりです。
- LT=Lactate(乳酸) Threshold(閾値)
- 走るスピードを徐々に上げていく中で乳酸が急激に溜まるポイントのこと
- 競技力が高いランナーほどポイントの出現が遅い
そもそも乳酸とは?
では、そもそも乳酸とは何なのでしょうか?
また、どのようにして生み出されるのでしょうか?
- 糖質が分解されるときにできる生成物のこと
- 乳酸自体はエネルギーとして再利用されるので、疲労物質ではない
ちなみに、糖質を分解するのはエネルギーを生むためです。
糖質を分解してエネルギーを生み出すと同時に乳酸も作られます。
なぜLT値が重要なのか?
では、なぜLT値を高めることが重要なのか?やはり乳酸と大きく関係しています。
- 乳酸が溜まると結果的に筋収縮が妨げられ、ペースダウンにつながってしまう
- そのため、乳酸を処理・再利用する能力を高める必要がある
- その能力の指標となるのがLT値(乳酸性作業閾値)であるため
ランニングエコノミー
ランナーの能力を決める3つの要素、3つ目は「ランニングエコノミー」です。
ランニングエコノミーとは
ランニングエコノミーとは、簡単にまとめると以下とおりです。
- Running Economy(ランニングの経済性)
- 走っている速度に対して消費する酸素量のこと
- 同じ速度で走った際、消費する酸素量が少ないほど能力が高いということ
また、ランニングエコノミーはVO2maxやLT値、ランニングフォームなど様々な要因で決まります。
3つの能力を強化するのに有効なトレーニング方法
では、これら3つの能力を高めるにはどんなトレーニングが有効なのでしょうか?
それぞれ解説していきます。
VO2maxの強化:「インターバルトレーニング」
VO2maxを強化するには「インターバルトレーニング」が有効です。
なぜインターバルトレーニングが有効なのか?主な理由・方法は以下の通りです。
- VO2max強化には強度の高いインターバルトレーニングが有効
- 心肺機能や筋細胞が活性化し、より多くの酸素を摂取できるようになるため
- レースペース、もしくはそれ以上のスピードでの走動作を繰り返す
酸素摂取量を増やすには高強度の刺激を与える必要があります。
そのため、レースペース以上の速度で走ることが重要となります。
LT値の強化:「ペース走」
LT値(乳酸性作業閾値)を高めるには「ペース走」が有効です。
では、なぜペース走が有効なのでしょうか?主な理由は以下のとおりです。
- LT値(乳酸性作業閾値)を高めるにはペース走が有効
- 乳酸を有酸素的に処理することができるようになるため
- 閾値付近のペースを維持することで乳酸処理能力が高まる
ちなみに感覚的に表現すると、閾値ペース=「少しきついが走り切れるペース」という感じです。
逆に「途中で維持できなくなるペース」や「余裕で走り切れるペース」では、ペース走としてのトレーニング効果は得られません。
これらのポイントを意識しながら、自分にとって適正なペースを探っていきましょう。
ランニングエコノミーの強化:「筋力トレーニング」
ランニングエコノミーを高めるには「筋力トレーニング」が有効です。
- ランニングエコノミーを高めるには筋トレ・プライオメトリクストレーニングが有効
- 体のブレなど無駄な走動作が無くなり、同じ速度でも消費するエネルギー量抑えられるようになるため
- 筋肥大を起こさずにパフォーマンスアップを目指すことが重要
上記の通り、中長距離ランナーが筋トレを行う際にはいたずらに筋肥大を起こさないことが重要です。
なぜなら、競技力の低下につながってしまう場合があるからです。
詳細についてはこちらの記事で解説しています。
まとめ
今回は「中長距離ランナーの能力を決める3つの要素」について解説してきました。
「3つの要素」と「その強化方法」について、もう一度おさらいしておきましょう。
- VO2max(最大酸素摂取量)
→高強度のインターバルトレーニング
- LT値(乳酸性作業閾値)
→閾値付近でのペース走
- ランニングエコノミー
→筋トレ・プライオメトリクストレーニング※筋肥大は起こさない
これら3つの要素はトレーニングメニューを考える際にも非常に重要です。
「今やっているトレーニングの目的は?」
「3つの要素のうち、どれを強化するメニューなのか?」
こういった意識を持ちながらトレーニングを継続していると、自ずとやるべきこと・足りないものが見えてくるはずです。
自己ベスト更新に向けて、これら3つの要素をどんどん強化していきましょう。
以上、Yでした!
『基礎からわかる!中長距離走トレーニング』(櫛部静二 著)
運動生理学やスポーツ科学に基づいた内容となっていて、すぐにでも応用できる知識がたくさん記されています。
非常に面白く、モチベーションアップにも繋がります。
- 著者は城西大学駅伝部監督の櫛部静二さん(櫛部監督は3000mSCの前日本高校記録保持者)
- 実際に箱根駅伝に出走した選手の「レース直前の調整メニュー」が記載されている
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