【陸上長距離】マラソンのタイムを伸ばしたいなら、1500mのタイムを伸ばそう

ランニング

サブ4やサブ3を目指して日々トレーニングを積んでいるという方も多いと思います。

ただ、なかには「しっかり距離も踏んでいるのに、なかなかタイムが伸びない…」というヒトもいるのではないでしょうか。

そんなランナーにこそ、まずは1500mのタイムを伸ばすことをオススメします。

フルマラソンと1500mのタイムは一見するとあまり関係ないように見えます。

しかし、1500mのタイムを伸ばすことがマラソンのタイム更新につながるのです。

そこで今回は「1500mのタイムを伸ばすべき理由」について解説していきます。

今回の参考書籍

『最高の走り方:超効率的「ベストな1歩」が記録を伸ばす!』
著者:弘山 勉(筑波大学陸上競技部 男子駅伝監督)
出版:小学館

1500mのタイムを伸ばすべき理由

先述のとおり、フルマラソンのタイムを伸ばしたいならまず1500mのタイムを伸ばすことが大切です。

なぜなら、1500mで発揮できる能力が長距離ランナーの最大値だからです。

長距離種目のタイムは主に以下の4つの要因で決まります。

  • 解糖系により生み出せる乳酸量
  • VO2max最大酸素摂取量
  • 走速度(スピード)
  • 筋力・出力

そして、1500mでは上記4つの能力をフル稼働させて走るのです。

そのため、1500mのタイムが速いほど上記4つの能力も高いといえます。

これはつまり、1500mのタイムを伸ばすことができれば3000m〜フルマラソンまで他の種目の記録を伸ばせるようになるということです。

もちろん、各種目に応じたトレーニングは必要になります。

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「1500mの練習だけで、マラソンの自己ベスト更新を狙うのは限界がある」と誰もが思いますよね。

ですが、そもそも1500mのタイムが上がらないと、他の種目でも大幅にタイムを伸ばすことは難しいのです。

なかには「1500mのタイムは遅いけど、マラソンの自己ベストは速い」という方もいるかと思います。

ですが、そういったランナーの方たちのほとんどは…

  • 1500mを走る機会が極端に少ない
  • 1500mの自己ベストがかなり古い記録である

といったケースが多いと思われます。

もし該当するようであれば、マラソンの自己ベストを更新したタイミングで1500mを走ってみてください。

きっと以前よりも速いタイムで走れるはずです。

世界トップレベルのマラソンランナーは1500mも速い

フルマラソンを速く走れるランナーは1500mも速く走れます。

実際、男子マラソン世界記録保持者であるエリウド・キプチョゲ選手や、日本を代表するランナーである大迫傑選手は1500mもかなり速いタイムで走ります

選手名1500mフルマラソン
エリウド・キプチョゲ 選手3’33”202:01:39
ケネニサ・ベケレ 選手3’32”352:01:41
大迫傑 選手3’40″492:05:29

1500mは有酸素能力を使って走る種目のうち最短距離であり、かつ最速のスピードで走る種目です。

だからこそ、1500mのタイムを伸ばすことサブ4やサブ3さらにはサブ2.5につながります

「自分には中距離などのトラック種目は関係ない」と切り捨てず、バランス良くトレーニングをおこないましょう。

1500mのタイムから弱点がわかる「プラス5秒の法則」

また、1500mのタイムが分かればフルマラソンのタイムも予測することができます。

それが「プラス5秒の法則」であり、1kmあたりの平均ペースに短い距離から順番に+5秒したペースで走れるというものです。

例えば、この法則をエリウド・キプチョゲ選手のタイムに当てはめてみると、ほとんど誤差がないことがわかります。

距離1500m3000m5000m10000m15kmハーフマラソンフルマラソン
タイム3’33″307’27″6612’46″5326’49″0259’252:01:39
ペース(/km)2’22″132’29″222’33″302’40″902’48″972’52″98
エリウド・キプチョゲ選手の自己ベスト

法則どおりであれば、「1500mのレースペース+30秒」でちょうど「マラソンのレースペース」になります。

実際にキプチョゲ選手のペースを見てみると、法則との誤差はわずか0.85秒しかありません。
※2’52″98(フルマラソン) − 2’22″13(1500m)=30″85

ただし、この法則は競技レベルが下がるほどバラつきが生じやすいといいます。

そのため、まずは自己ベストを以下の基準ペースと比較して、自分の弱点を割り出すことが大切です。

なお、基準タイムは目標(サブ3やサブ4)ごとに異なります。

目標タイム1500m3000m5000m10000m15kmハーフマラソンフルマラソン
サブ2.53’033’083’133’183’223’273’33
サブ33’273’383’473’554’024’084’15
サブ3.54’004’134’244’344’424’504’58
サブ44’304’454’585’105’205’305’40
各種目の1kmあたりのレースペース

基準タイムと比べて、「1500mのペースは速いのに距離が長くなるほど遅くなる」という場合、スタミナ不足が予想されます。

スピード自体は身に付いているので、そのスピードを維持するために持久系トレーニングをおこないましょう。

逆に「基準タイムよりも1500mのタイムが遅く、距離が長くなるほど差が小さくなる」という場合はスピードが不足していると言えるでしょう。

筋トレや速い動きを繰り返すことでスピードを強化しましょう。

「プラス5秒の法則」を使って弱点を見つける方法をまとめると、以下のとおりです。

レースタイムから弱点を見つける方法
  1. 1500m〜フルマラソンまでの各種目の自己ベストを書き出す
  2. 1kmあたりのレースペースに換算する
  3. 基準タイムと比較して弱点を見つける

まとめ:まずは1500mのタイムを伸ばそう

今回は1500mとフルマラソンの関係について解説してきました。

内容をまとめると以下のとおりです。

まとめ
  • 1500mは長距離ランナーの能力の最大値を示す
  • 1500mのタイムが伸びればマラソンのタイムも向上する
  • 「プラス5秒の法則」を使って自分の弱点を把握する

マラソンがきっかけで走り始めた人のなかには、1500mなどのトラックレースに出場したことがない人も多いと思います。

ですが、先述のとおり1500mは自分の競技力を知るうえで重要な指標となります。

ぜひ一度トラックレースに出て、1500mを走ってみてください!

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陸上ブログの”Y-RUNNING.COM”を運営している” Y”といいます。詳しいプロフィールはこちら。この記事が気に入ったら、Twitterなどでシェアしてもらえると嬉しいです!

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