今回は、初めて5000m14分台を達成したときのトレーニングメニューを公開します。
5000m14分台を目指している方の参考になればと思います。
ちなみに、僕自身は『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』の考え方をベースにトレーニングメニューを組んでいます。
本書に記載されている「jog・ポイント練習の設定ペース」「レース前の調整方法」を実践してから、5000mのタイムが15’30→14’39まで伸びました。
タイムに伸び悩んでいるランナーの方は、一度読み込んでみることをオススメします。
各種目のシーズンベスト
14分台を出す前のシーズンベストは、それぞれ以下の通りです。
種目 | シーズンベスト | 日付 |
400m | 57’14 | 7/5 |
800m | ー | ー |
1500m | 3‘56”34(PB) | 10/3 |
3000m | 8’51″3 | 9/27 |
5000m | 15’08“74(PB) | 9/22 |
ちなみに2月のロードレースでは5.5km 22’11(4‘02/km)でした。
練習ペースを決める際はシーズンベストを基準にすることをオススメします。
前シーズン(及びそれ以前)の自己ベストを基準にすると、現在の競技レベルと必ずしも一致せず、結果としてオーバーワークやケガにつながります。
5000m14分台に必要な練習
月間走行距離
14分台を出すまでの1ヶ月毎の走行距離(半年分)は以下の通りです。
月 | 月間走行距離(km) |
5月 | 240 |
6月 | 242 |
7月 | 217 |
8月 | 200.57 |
9月 | 244.75 |
10月 | 278.25 |
基本的には200〜250kmくらいを継続して走っていました。
ちなみに、5月まではjogのみ実施しており、6月から本格的にポイント練習を再開しました。
7〜8月は気温が高いこともあり、距離を踏むのではなくスピード系の練習に注力しました。
また週1回Rest(完全休養)を入れているので、平均すると1日当たり8〜10km走っていることになります。
メニューの設定タイム
メニューの設定ペースはVDOTを基準に決めています。
参考として、各種メニューの設定ペースをご紹介します。
以下、シーズンベスト(1500m3‘56“34)から求めたVDOT(=VDOT71)を基準としています。
Eランニング(jog)
VDOT42〜53(=59〜74%VDOT)
・4’43〜6’23/km
普段のjogは基本的に5’00/kmより遅いペースでおこなっていました。
誤解して欲しくないのが、5’00/kmというペース自体を基準としていたわけではなく、あくまでVDOTを基準としていた点です。
なので、自己ベストを更新してVDOTが上昇すればjogのペースも修正していきます。
Mランニング(速めのjog)
VDOT53〜60(=75〜84%VDOT)
・3‘52〜4’18/km
Tランニング(ペース走)
VDOT59〜62(=83〜88%VDOT)
・1000m=3‘34〜3’43
・1マイル=5’45〜5’59
10Kレースペース(速めのペース走)
VDOT63〜67(=89〜94%VDOT)
・3’21〜3‘32/km
10kmレースペースとありますが、僕自身は速めのペース走と位置づけています。
主に(T1.6km・Rest1分)×6など短い距離を閾値ペースで繰り返す、いわゆるクルーズインターバルと呼ばれるメニューなどにオススメです。
インターバルトレーニング+T3000m(3’20/km)などのメニューもおこなっていました。
Iランニング(インターバル)
VDOT67〜71(=95〜100%VDOT)
・400m=70〜74
・1000m=2’57〜3‘05
・1200m=3’31〜3’42
・1マイル=4‘43〜4’57
Rランニング(レペティション)
VDOT75〜85(=105〜120%VDOT)
・200m=27“〜30”
・300m=41”〜46“
・400m=55“〜61”
・600m=82“〜91“
VDOTについてや自己(シーズン)ベストから設定ペースを求める方法については、こちらの記事を参考にしてください。
また各種メニューについては、以下のような点も気になるところだと思います。
- 各種メニューの効果や目的は?
- 1回あたりの練習量の目安は?
- 1週間の走行距離は?
これらについては、以下の記事を参考にしてください。
各種メニューの順番(シーズン全体)
シーズン全体を通して、主に以下の流れに沿って練習をおこなっていました。
上記のように、まずは1シーズンを4つのフェーズに期分けします。
その後、各フェーズごとに強化したいポイントに沿ったメニューを組みます。
期分けはVDOTと並んで非常に重要な考え方だと感じています。
僕自身はこの2つの考え方に沿ってトレーニングをおこなったシーズンで、1500m3分台・5000m14分台を同時に達成できました。
では、以下のような疑問も含めて、具体的にどのように期分けすれば良いのでしょうか?
- 各フェーズにどれくらいの日数・期間を割り当てるのか?
- シーズン終盤では種目ごとに練習内容も変わるのか?
上記のような疑問については、こちらの記事を参考にしてください。
練習メニュー(レース1ヶ月前〜当日)
1週間の流れ
1週間ごとの練習の流れは以下の通りです。
曜日 | 練習メニュー |
日 | ポイント練習(1回目) |
月 | Rest |
火 | Eデー |
水 | ポイント練習(2回目:Lランニング) |
木 | Eデー |
金 | ポイント練習(3回目) |
土 | Eデー |
週の初日に最も重要な練習(=1回目のポイント練習)を行うようにしています。
これは、悪天候や不調などでポイント練習ができなくなる事態を防ぐためです。
L(ロング)ランニングも毎週おこない、週間走行距離の25%または120分間走のどちらか少ない方を目安に走っています。
ポイント練習の回数はレースの有無で調整します。
レースもポイント練習とみなすため、記録会などに出場した週はポイント練習の回数を減らします。
また、レースで走った距離に応じてRestやjogの日を適宜増やします。
1週間の流れをまとめると以下の通りです。
- 週1日はRest(完全休養日)を設ける
- ポイント練習は週2〜3回おこなう
- その他の日はjogをおこなう
※週の初めを何曜日に設定するかは、各自のスケジュールに合わせてもらえればOKです
第1週(約1ヶ月前)
日付 | 練習内容 | 距離(km) |
9/27 | E2.0km、I3000m(8’50)+T3000m(3’20/km)、E2km | 10 |
9/28 | E10km(5’37/km) | 10 |
9/29 | E40分(5’28/km) | 7.4 |
9/30 | Rest | - |
10/1 | E1.8km、E40分(5’29/km)+WS×3 | 9.2 |
10/2 | E40分(5’34/km) | 7.4 |
10/3 | AM:E2km、1500m予選(4’08″6)、E2km PM:E2km、1500m決勝(3’56″34)、E2km | 11 |
レース1カ月前は、2’57〜3’00/kmのペースに慣れることを意識していました。
3000mを9’00切りの設定でコンスタントに走れると、14分台の可能性はかなり高まる気がします。
また、5000m14分台を目指した練習でも、ある程度1500mにも対応できることが分かりました。
第2週(3週間前)
日付 | 練習内容 | 距離(km) |
10/4 | E2km、5000m予選(15’37″93) | 7 |
10/5 | Rest | ー |
10/6 | E10km(5’51/km) | 10 |
10/7 | E10km(5’29/km) | 10 |
10/8 | E10km(5’27/km) | 10 |
10/9 | L15km(5’40/km) | 15 |
10/10 | Rest | ー |
週初日の5000mでは3’08/kmを維持することを意識して走りました。
前週のようなポイント練習を継続してこなせれば、割と余裕を持って走れるようになると思います。
※翌週予定されていた決勝は台風のため中止
また、レース後は疲労を考慮してRestを2日挟み、jogのみ実施しました。
僕自身はレース距離3kmにつき、jogまたはRestの日を1日設けています。
ちなみに疲労管理の指標として、トレーニング時の心拍数を記録することをオススメします。
なぜ心拍数が重要なのか?その理由は以下のとおりです。
心拍数を管理すればオーバーワークを防止できます。
例えば、普段と同じペースで走っているのに心拍数が高ければ、ペースを落とすかRestにするなどの対策を講じることができます。
ちなみに、心拍数をモニターするのにオススメなのが心拍ベルトです。
心拍計付きのランニングウォッチでも計測できますが、これにはかなり誤差が生じます。
例えば、実際は心拍数120で走っているのにウォッチでは心拍数160と表示されるなど…
そのため、より精度の高い心拍ベルトの使用をオススメします。
・GARMIN(ガーミン)のウォッチを使っている方はこちら↓
・SUUNTO(スント)のウォッチを使っている方はこちら↓
第3週(2週間前)
日付 | 練習内容 | 距離(km) |
10/11 | E2km、I 3000m(8’55)+T3000mテンポ走(3’20/km)、E1.8km | 9.8 |
10/12 | E11.6km(5’27/km) | 11.6 |
10/13 | E11.6km(5’13/km) | 11.6 |
10/14 | E2km、I1km(3’00)+T2km(3’10/km) +M3km(3’20/km)+M4km(3’30/km)、E1km | 13 |
10/15 | Rest | - |
10/16 | L15km(5’04/km) | 15 |
10/17 | E10km(5’02/km) | 10 |
前週から疲労回復したこともあり、jogのペースが全体的に上がっています。
ちなみに、jogのペースはVDOTを基準に設定しています。
VDOTはポイント練習のペース設定にも応用でき、自己ベスト更新を目指す上でかなり役に立ちます。
「そもそもVDOTって何?」という方や「ペース設定の基準を知りたい」という方は、こちらの記事を参考にしてください。
第4週(1週間前)
日付 | 練習内容 | 距離(km) |
10/18 | E2km、(I1km(3’00)・jog200m)×5、E1.6km | 9.4 |
10/19 | E10km(5’57/km) | 10 |
10/20 | E10km(5’12/km) | 10 |
10/21 | E2km、E1.2km、T1.6km(3’12/km)×3+WS150m×3、E1.2km | 9.65 |
10/22 | Rest | ー |
10/23 | E10km(5’23/km) | 10 |
10/24 | E40分(5’20km) | 7.4 |
現状の走力確認も含めて1000m×5を実施しました。
個人的な感想ですが、1000m×5を全てこなせれば14分台で走る力は充分にあると思います。
また、レース前の週は質を落とさずに量を落としていきます。
僕自身はレース4日前にRestを入れ、jogのペースは上げないことを意識しています。
レース前の調整については、こちらの記事でも解説していますので参考にしてください。
レース当日
日付 | 練習内容 | 距離(km) |
10/25 | E2km、E1.5km、5000m(14’43″1)、E1km | 9.5 |
レース前は状態確認も兼ねて、50〜100mのながし(WS)を数本おこないます。
僕自身は、ながしをおこなったときの身体のキレを調子のバロメーターとしています。
ちなみに、この日は身体のキレも実感でき、ラスト400mのラップタイムも7秒ほど上げることができました。
レース前のウォーミングアップ
レース前のアップについては、ながしに加えて動的ストレッチを重視しています。
10分ほどjogをして体を温めた後は、素早い動きやレース中の走動作を意識的におこなっています。
一方で、静的ストレッチは一切おこなっていません。
実は、レース前の静的ストレッチはパフォーマンスを下げることが分かっています。
レース前におこなうべきアップメニューについては、こちらの記事で解説しています。
レースラップタイム・ペース配分
レースラップタイム(1kmごと)は以下の通りです。
距離 | スプリット | ラップ |
1000m | 2‘56“20 | - |
2000m | 5’53”95 | (2‘57“75) |
3000m | 8’51”60 | (2‘57“65) |
4000m | 11’51”35 | (2‘59“75) |
5000m | 14’43”10 | (2‘51“75) |
14分台を出すに当たり、レース中に最も意識したのは1周ごとのラップタイムです。
このレースでは、常に1周72秒(=3’00/km)を切る意識で走りました。
1周ごとのラップタイムを意識すると、
・自分(もしくは集団)のペースダウンに気がつく
・3000〜4000mの中だるみを防げる
などのメリットがあるためです。
ちなみに、科学的に正しいペース配分というものも研究で明らかになっています。
こちらの記事で解説していますので、気になる方は参考にしてください。
フィットネスギア
ちなみに、14分台を出したレースで初めてハーフタイツを着用して走りました。
あくまで個人的な感想ですが、タイツの着圧でブレが軽減され3000〜4000mでも脚がしっかり動くと感じました。
ランパンよりも推進力を得られる感じがあり、特にラストスパートではタイツの恩恵を実感しました。
ラスト1周で5〜10秒稼ぐことができれば大幅な自己ベスト更新を狙えるので、試してみる価値はあると思います。
タイツの効果や実際に着用したタイツについては、こちらの記事で紹介しています。
まとめ
今回は、5000m14分台を達成したメニューについてご紹介しました。
最後に14分台を達成するまでの全体的な流れを確認しておきましょう。
今回ご紹介したメニューが正解というわけではなく、あくまで個々に合ったメニューをおこなうことが大切です。
一方で、5000m14分台を目指すうえで大まかなトレーニングの流れ・傾向においては共通する部分もあるとも感じています。
例えば、僕の周りでは走行距離に拘るランナーよりもインターバルトレーニングを重視するランナーの方がはるかにタイムの伸びが良かったです。
まずは役に立ちそうだと感じたポイントから、参考にしてもらえればと思います。
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