乳酸といえば、「疲労物質」「疲れの原因」というイメージがあるかと思います。
実際、速いペースで走ると急に脚が動かなくなる時とかもありますよね。
ですが、乳酸は決して疲労物質などではありません。
むしろ、うまく使うことでエネルギー源となるのです。
そこで今回は、乳酸についてや乳酸を使えるようになるためのトレーニング方法について解説していきます!
そもそも乳酸とは?
乳酸とは、走るためのエネルギーが作られる過程で生み出される物質です。
走るときのエネルギーは主に3つの方法で作り出されています。
このうち、解糖系でエネルギーが作り出される過程で乳酸は生み出されます。
ちなみに、エネルギー供給システムについてはこちらの記事で解説しています。
乳酸は疲労物質ではなくエネルギー源
乳酸は「疲労物質」だと言われますが、実はそうではありません。
なぜなら、乳酸はエネルギーとして再利用することができるからです。
生み出された乳酸は、まずピルビン酸という物質に変換されます。
そして、細胞内にある※ミトコンドリアに取り込まれることでエネルギーとして生み出されるのです。
※細胞内にある小器官のことで、主に酸素を使ってエネルギーを生み出す役割を担っている
つまり、乳酸はエネルギー源であるということです。
乳酸が溜まるとキツくなるワケ
乳酸が蓄積していくと、筋繊維内の水素イオン濃度が高まります。
すると、エネルギーを生み出すのに重要なカルシウムの働きが悪化してしまいます。
その結果、筋収縮が低下してしまうのです。
これが「乳酸が溜まると脚が動かなくなる理由」です。
乳酸が溜まる仕組み
乳酸が溜まるのは酸素が足りなくなるからです。
先述のとおり、乳酸をエネルギーとして使うにはピルビン酸への変換が必要ですが、この変換には酸素を使います。
つまり、乳酸を溜めないためにはその分酸素を摂取する必要があるのです。
ただ、走るペースが上がるとVO2max(最大酸素摂取量)に達して、取り込める酸素の量が頭打ちになってしまいます。
そのうえ、走るペースが上がると解糖系によるエネルギー供給の割合が増え、乳酸の産生量も増えます。
つまり、酸素の量は増えないのに乳酸の量は増えていくということ。
だから、乳酸の処理が追いつかず筋繊維内に乳酸が蓄積していくのです。
乳酸を抑える・再利用するためのトレーニング
では、どうすれば乳酸を溜めずに走り続けられるのか?
乳酸を溜めずに走るにはLT値(乳酸生作業閾値)を高めることが重要です。
LT値とは血液中の乳酸が急激に増えるポイントのことです。
このLT値の出現する時間を遅らせることができれば、速いペースを維持して走れるようになります。
LT値を上げるのに最適なトレーニングはペースランニングです。
距離は最低でも8000m以上を目安に行います。
なぜなら、8000m以上走ればトータルで20分以上走ることになるからです。
走るときの主なエネルギーは糖質と脂肪ですが、走り始めは糖質がメインとなります。
一方、脂肪は走り始めてから20分が経過した頃から使われ始めるといわれています。
そのため、ペースランニングは1回あたり20分以上走るようにしましょう。
脂肪を使えるようになると糖質を節約できるため、レース終盤まで余力を残すことができます。
また、最も重要なのがペースです。
目安としては少しキツいけど走り切れるくらいがベストです。
楽に走り切れるペースだとLT値の向上を促進できないので、自分に合ったペースを探っていきましょう。
まとめ:LT値を上げて乳酸を処理できるようになろう
今回は乳酸について解説してきました。
内容をもう一度おさらいしておきましょう。
乳酸を処理することができれば、自己ベストの大幅更新も狙えます。
まずは自分に合ったペースランニングの強度を見つけて、練習を継続していきましょう!
以上、Yでした!
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