こんにちは、Y(@Y_1500m5000m)です!
皆さんは走るときのエネルギーが体内でどのように作られているか知っていますか?
- 聞いたことはあるけど、しっかり理解できていない…
- そもそも聞いたこともない
という人がほとんどではないでしょうか?
ですが、エネルギー供給の仕組みを知ることはタイムを伸ばすうえで非常に重要です。
なぜなら、体内でエネルギーが作られる仕組みを知らないと目的から逸れたトレーニングをすることになるからです。
例えば、レースペースのように速いスピードで走ると
- すぐに脚が重くなってしまう
- 最後まで脚が持たない…
という悩みを持っているのに、ジョグ(ジョギング)ばかりしていてもタイムは一向に伸びません(理由は後述)。
一方、エネルギーの仕組みについて知っていると、自分に足りないトレーニングの種類が分かるので、効率良くタイムを伸ばすことができます。
そのため、エネルギー供給の仕組みについて知っておくことが大切なのです。
そこで今回は、ランニングのエネルギー源や体内でエネルギーが作られる仕組みについて解説していきます。
中長距離とエネルギー
そもそも、中長距離を速く走るためには…
- 一定時間で作り出せるエネルギーの量
- エネルギーを作る状態を持続させる能力
この2つを伸ばすことが重要となります。
そもそも、作り出せるエネルギーの量が少なければ、当然出せる力も小さくなってしまいます。
また、作り出せるエネルギー量が多くても、その状態を維持できないと中長距離を速く走ることはできません。
効率よくトレーニングを行うためにも「身体の中でどのようにエネルギーが作られているのか?」を知ることが大切です。
エネルギー源はATP
運動をするときのエネルギー源はATP(アデノシン三リン酸)です。
ATPとはアデノシンにリン酸3つがくっついたもので、このリン酸の繋がっている部分にエネルギーが蓄えられています。
そこからリン酸がひとつ離れて、ADP(アデノシン二リン酸)とリン酸に分解されるときエネルギーが生まれます。
このエネルギーを使って筋肉を収縮させ、身体を動かしています。
ATPを再合成することで走り続けられる
エネルギー源となるATPですが、体内にある量はわずかで、すぐに使い切ってしまうほどです。
それでもランナーが走り続けられるのはATPを再合成しているからです。
先述のとおり、ATPはADPとリン酸に分解されてエネルギーとなります。
ですが、その後に様々なプロセスを経て再びATPとして合成され、繰り返し分解されてエネルギーを生み出します。
では、具体的にどうやってATPは再合成されるのでしょうか?
大きく分けると、以下の3種類のエネルギー供給システムでATPは再合成されます。
それぞれ詳しく解説していきます。
3つのエネルギー供給システム
ATP-PCr系
まず1つ目はATP-PCr系エネルギー供給システムです。
ATP-PCr系の主な特徴は以下のとおりです。
ATP-PCr系はクレアチンリン酸を使ってエネルギーを作り出します。
クレアチンリン酸はクレアチン(アミノ酸の1種)にリン酸がくっついたものです。
これをクレアチンとリン酸に分解して、離れたリン酸をADPと結合させることでATPを再合成しています。
ATP-PCr系では大きなエネルギーを生み出せる一方、わずか7〜8秒しかエネルギーを供給できません。
100m走で終盤失速するのもこのためです!
ちなみに、ゆっくりしたジョグでも走り始めはATP-PCr系によってエネルギーが供給されています。
他のエネルギー供給システムに比べ、立ち上がりが早いのもATP-PCr系の特徴です。
解糖系
2つ目は解糖系エネルギー供給システムです。
解糖系は筋肉内のグリコーゲンを分解してATPを再合成しています。
解糖系はATP-PCr系ほど大きなエネルギーを生み出せませんが、ある程度大きなエネルギーを比較的早く作り出すことができます。
また、解糖系をフル稼働させると約33秒間エネルギーを供給できるといわれています。
つまり、ATP-PCr系と解糖系(いわゆる無酸素性エネルギー)をフル稼働させても、40〜41秒ほどでエネルギーの供給は限界に達するということになります。
ただ、実際は有酸素性によるエネルギー供給の割合が増えることで、それ以降も走り続けることができます。
ちなみに、解糖系でエネルギーが作られる過程では乳酸が生み出されます。
乳酸は「疲労物質」だと言われることもありますが、実際はエネルギー源となります。
乳酸については、こちらの記事で解説しているので参考にしてください。
中長距離種目においても、レースでは解糖系を多く使うことになります。
そのため、無酸素性トレーニングも重要です!
有酸素性
3つ目は有酸素性エネルギー供給システムです。
有酸素性の主な特徴は以下のとおりです。
有酸素性エネルギー供給システムでは、酸素を使って体内にある糖質や脂質を分解してATPを再合成します。
有酸素性の最大の特徴は長時間エネルギーを供給できるところです。
ATP-PCr系や解糖系に比べると、一定時間当たりのエネルギー供給量は多くありません。
これは、糖質や脂質を分解するのに時間がかかってしまうためです。
ただ、最終的に二酸化炭素と水に分解されるので乳酸が蓄積されることもありません。
そのため、長い距離を走る場合は有酸素性エネルギー供給システムが欠かせません。
また、ATP-PCr系や解糖系とは異なり、有酸素性は酸素を使ってエネルギーを生み出します。
そのため、一定時間内に取り込める酸素量が多いランナーほど有酸素性のエネルギー供給能力が高いといえます。
だからこそ、VO2max(最大酸素摂取量)を強化することが大切になります。
VO2maxとは体重1kgあたり1分間に体に取り込める最大限の酸素量のことです。
ちなみに、「なぜ体重1kgあたりなの?」と疑問に思った人もいるのではないでしょうか?
これは、ランナーが走る際には「自分の体重も移動させなければいけないから」というのが理由です。
例えば、以下のようなケースで考えると分かりやすいと思います。
体重の移動を伴うランニングは、その分さらにエネルギーが必要となります。
だからこそ、ランニングのVO2maxでは「体重1kgあたりの酸素量」を考える必要があるのです。
まとめ:無酸素性、有酸素性の両方をバランス良く強化しよう
今回はランナーが走るときのエネルギー源やエネルギーが供給される仕組みについて解説しました。
もう一度内容を振り返っておきましょう。
トレーニングメニューが偏ると、強化されるエネルギー供給システムも偏ってしまいます。
ジョグだけでなくインターバルトレーニングなども行うことで、有酸素性と無酸素性の両方をバランス良く強化していきましょう。
そうすることで、スピードとスタミナの両方を底上げすることができます。
中距離からフルマラソンまで、伸び悩んでいる人は是非一度試してみてください!
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