スピード練習の目的はスピード向上ではない|陸上長距離マラソン

ランニング

突然ですが、長距離ランナーがスピード練習をおこなう意味とはなんだと思いますか?スピードを上げるためでしょうか?

実は、スピード練習の目的はスピードを伸ばすことではありません。では、なんのためにスピード練習をやるのか?そもそも、どうすればスピードを上げることができるのか?

今回はこういったスピード練習に関する疑問についてお話していきます!

スピード練習の目的は”スピードの向上”ではない

スピード練習の目的

まず気を付けたいのが、スピード練習の目的は「スピードを上げること」ではなく「スピード持久力を強化すること」だという点です。

例えば、100mを15秒で走るとします。このペースを200mまでしか維持できない場合、そのペースを400m、600mと更に維持できるようにするのがスピード練習です。

スピード練習というと「100mのタイムを15秒→11秒に縮める」といったイメージがあると思います。ですが、これはスピード練習の目的ではないということです。

つまり、スピード練習をしても走るペース(=スピードの最大値)は変わらないが、それを維持できる距離・時間を伸ばせるということです。

短距離並みのスピードがないとダメ?

ちなみに「中長距離ランナーでも短距離並みのスピードがないと勝てないんじゃ?」と感じた方もいると思います。

たしかに、中長距離ランナーもスピードがあるに越したことはありません。ですが、100mを11秒台で走れるようなスピードが無くても長距離で戦うことはできます。

例えば、「1500mを3分台で走るにはスピードが必要」と感じる方は多いと思います。ですが、400m64秒のペース(=1500m4‘00ペース)を維持できれば、最後に少しスパートするだけで達成できます。

400m64秒は100mなら16秒、200mなら32秒のペースです。換算してみると、特段速いペースではないですよね。

ただ、100mを16秒で走れるランナーはたくさんいるけど、そのペースを1500m維持できるランナーはグッと減ります。だからこそ、スピード持久力の向上が欠かせないのです。

スピードを上げるのは”筋トレ”

スピードは”筋肉”から生まれる

では、スピードそのものを上げるにはどうすればいいのか?その唯一の方法が筋力トレーニングです。なぜなら、スピードは筋肉によって生み出されるからです。

筋肉は主に速筋と遅筋の2種類に大別できますが、このうちスピードを生み出すのは速筋です。そのため、スピードを上げたいなら速筋の量を増やす必要があります。

ただ、速筋と遅筋の割合は生まれつき決まっており、トレーニングでも速筋線維の数を増やすことはできません。そのため、筋トレで速筋線維を太くすることでスピードを上げていきます。

速筋は”乳酸”を生み出す

ちなみに、速筋は乳酸を生み出す”解糖系”というエネルギー回路を多く持っています。そのため、速筋を増やすと乳酸を生み出せる量も増やすことができます

「乳酸が増えるのって良くないんじゃないの?」と疑問に思った方もいると思います。ですが、乳酸の産生量が増えると速く走れるようになります。なぜなら乳酸はエネルギー源になるからです。

乳酸をエネルギーとして使うには、乳酸を処理する能力を高める必要があります。ですが、それ以前に乳酸をたくさん出すことができないと乳酸処理能力を高めることもできません。

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そのため、まずは筋トレで速筋線維を太くする必要があります!

なお乳酸処理能力を高めるトレーニング方法などについては以下の記事で解説しているので、気になる方は参考にしてください👇

1500m3分台/5000m14分台を出したスピード練習

ここまで”スピード練習の目的はスピード持久力を強化することである”とお話してきました。ただ、「具体的にどんなメニューをやればいいのか分からない!」という方もいると思います。

そこで、ここでは僕が1500m3分台&5000m14分台を達成する前に行ったメニューをご紹介します。

設定タイムや走行距離はそれぞれの目的や狙う種目に合わせて調整が必要です。あくまで一例として参考にしてもらえればと思います。

  • (500m・Rest3分)×12
    設定タイム: 1’25(=2’50/km)
  • {(400m・Rest3分)×4・Rest12分}×2
    設定タイム:1’04〜06(=2’40〜45/km)

スピード練習を行うときのポイントはフォームの維持を意識しながら走ることです。

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全力で走るのではなく、一定のリズム・足の運びで走り続けるような感じです!

スピード練習ではどうしても設定タイムを守ることに意識がいきがちですが、もがき苦しみながら走るくらいなら、多少ペースを落としてでも正しいフォームを維持して走り切る方が遥かに効果的です。

なぜなら、フォームが崩れるようなスピードではレースを走り切れないからです。なので、スピード練習はレベルの近いランナー同士で行うことをオススメします!

まとめ:「スピード練習」と「筋トレ」はセットで行おう

今回はスピード練習の目的、スピード自体を強化する方法についてお話してきました。ポイントをまとめると以下のとおりです。

  • スピード練習の目的はスピード持久力の強化
  • 短距離のようなスピードがなくても充分戦える
  • スピードを上げたいなら筋トレで速筋を強化する
  • スピード練習ではフォームを意識する

スピード練習に対するイメージが少し変わった方もいるのではないでしょうか?スピードの無いランナーこそスピード持久力を強化すれば大きく伸びます。

皆さんも、ぜひスピード練習を取り入れて自己ベスト更新を狙ってみてください!

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陸上ブログの”Y-RUNNING.COM”を運営している” Y”といいます。詳しいプロフィールはこちら。この記事が気に入ったら、Twitterなどでシェアしてもらえると嬉しいです!

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