「乳酸」はランニングのエネルギー源|LT値を上げて自己ベスト更新を狙え

ランニング

乳酸といえば、「疲労物質」「疲れの原因」というイメージがあるかと思います。

実際、速いペースで走ると急に脚が動かなくなる時とかもありますよね。

ですが、乳酸は決して疲労物質などではありません。

むしろ、うまく使うことでエネルギー源となるのです。

そこで今回は、乳酸についてや乳酸を使えるようになるためのトレーニング方法について解説していきます!

今回の参考書籍

『基礎からわかる!中長距離走トレーニング』
著者:櫛部静二 城西大学駅伝部監督
出版:ベースボール・マガジン社

そもそも乳酸とは?

乳酸とは、走るためのエネルギーが作られる過程で生み出される物質です。

走るときのエネルギーは主に3つの方法で作り出されています。

3つのエネルギー供給システム
  • ATP-PCr系
  • 解糖系
  • 有酸素性

このうち、解糖系でエネルギーが作り出される過程で乳酸は生み出されます。

ちなみに、エネルギー供給システムについてはこちらの記事で解説しています。

乳酸は疲労物質ではなくエネルギー源

乳酸は「疲労物質」だと言われますが、実はそうではありません。

なぜなら、乳酸はエネルギーとして再利用することができるからです。

生み出された乳酸は、まずピルビン酸という物質に変換されます。

そして、細胞内にある※ミトコンドリアに取り込まれることでエネルギーとして生み出されるのです。

※細胞内にある小器官のことで、主に酸素を使ってエネルギーを生み出す役割を担っている

つまり、乳酸はエネルギー源であるということです。

乳酸が溜まるとキツくなるワケ

乳酸が蓄積していくと、筋繊維内の水素イオン濃度が高まります。

すると、エネルギーを生み出すのに重要なカルシウムの働きが悪化してしまいます。

その結果、筋収縮が低下してしまうのです。

これが「乳酸が溜まると脚が動かなくなる理由」です。

乳酸が溜まる仕組み

乳酸が溜まるのは酸素が足りなくなるからです。

先述のとおり、乳酸をエネルギーとして使うにはピルビン酸への変換が必要ですが、この変換には酸素を使います。

つまり、乳酸を溜めないためにはその分酸素を摂取する必要があるのです。

ただ、走るペースが上がるとVO2max(最大酸素摂取量)に達して、取り込める酸素の量が頭打ちになってしまいます。

そのうえ、走るペースが上がると解糖系によるエネルギー供給の割合が増え、乳酸の産生量も増えます

つまり、酸素の量は増えないのに乳酸の量は増えていくということ。

だから、乳酸の処理が追いつかず筋繊維内に乳酸が蓄積していくのです。

乳酸を抑える・再利用するためのトレーニング

では、どうすれば乳酸を溜めずに走り続けられるのか?

乳酸を溜めずに走るにはLT値(乳酸生作業閾値)を高めることが重要です。

LT値とは血液中の乳酸が急激に増えるポイントのことです。

このLT値の出現する時間を遅らせることができれば、速いペースを維持して走れるようになります。

LT値を上げるのに最適なトレーニングはペースランニングです。

LT値を向上させるペースランニング
  • 距離は8000m〜12000m
  • 脂肪を使うために20分以上は走る
  • 強度は「少しキツいが走り切れる」くらい

距離は最低でも8000m以上を目安に行います。

なぜなら、8000m以上走ればトータルで20分以上走ることになるからです。

走るときの主なエネルギーは糖質脂肪ですが、走り始めは糖質がメインとなります。

一方、脂肪は走り始めてから20分が経過した頃から使われ始めるといわれています。

そのため、ペースランニングは1回あたり20分以上走るようにしましょう。

脂肪を使えるようになると糖質を節約できるため、レース終盤まで余力を残すことができます。

また、最も重要なのがペースです。

目安としては少しキツいけど走り切れるくらいがベストです。

楽に走り切れるペースだとLT値の向上を促進できないので、自分に合ったペースを探っていきましょう。

まとめ:LT値を上げて乳酸を処理できるようになろう

今回は乳酸について解説してきました。

内容をもう一度おさらいしておきましょう。

乳酸について
  • 乳酸はエネルギー源になる
  • 乳酸使うにはをLT値を向上させる
  • LT値の向上にはペースランニングが有効

乳酸を処理することができれば、自己ベストの大幅更新も狙えます。

まずは自分に合ったペースランニングの強度を見つけて、練習を継続していきましょう!

以上、Yでした!

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