【長距離・マラソンランナー必見】筋肥大させずに筋力を上げるなら「プライオメトリクス」

補強・筋トレ

「筋トレはやってみたいけど、身体が重くなるのはイヤだな…」
「筋肥大させずに筋力を向上させたい!」

中長距離ランナーの皆さんの中には、こんな悩みや希望を持つヒトもいるのではないでしょうか?

そんなときはプライオメトリクストレーニングをオススメします。

このトレーニングを行うと、筋肥大を起こさずに筋力をアップさせることができます。

実際、僕自身もこのトレーニングを取り入れたことで、1500m3分台と5000m14分台を達成できました。

そこで今回は、「プライオメトリクストレーニング」や「ランナーの筋肉の種類」について解説していきます。

今回の参考書籍

『基礎からわかる!中長距離走トレーニング』
著者:櫛部静二 城西大学駅伝部監督
出版:ベースボール・マガジン社

筋肥大させずに筋力をアップさせるには「プライオメトリクストレーニング」

中長距離ランナーにオススメの筋トレはプライオメトリクストレーニングです。

プライオメトリクストレーニングとは、筋肉を伸張させた後、すぐに収縮させるような運動を繰り返すトレーニングのことです。

例えば、「ボックスジャンプ」などのトレーニングがこれに相当します。

プライオメトリクストレーニングをおこなうと、筋肉や腱、神経の機能が向上し、短時間で大きな力を出せるようになります

何より最大の特徴は筋肥大が起きにくいという点です。

「プライオメトリクストレーニング」で筋力アップを狙いましょう。

そもそも筋肥大を避けるべき理由

中長距離ランナーの筋トレでは、いたずらに筋肥大をすることはオススメできません。

なぜなら、筋肉に酸素を届けにくくなり、生み出せるエネルギー量が減るためです。

筋肉には、酸素を届けるために無数の毛細血管が張り巡らされています。

この毛細血管により運ばれた酸素を使って、走るためのエネルギーの一部が生み出されます。

しかし、毛細血管の数が変わらずに筋肉だけが肥大するとどうなるでしょうか?

筋肉が大きくなった分、毛細血管の密度は低下してしまいます。

つまり、筋肉に対して届けられる酸素の割合が小さくなってしまうのです。

中長距離種目では酸素を使ってエネルギーを生み出す割合が多いので、筋肥大は逆効果となってしまいます。

そのため、中長距離ランナーがむやみに筋肥大を起こすことは避けましょう。

脚が細いのにトップランナーが速いワケ

「むやみに筋肥大を起こさない方が良い理由は分かったけど、なんでトップランナーはあんなに脚が細いのに速く走れるの?」

こんなことを思ったヒトもいるのではないでしょうか?

トップランナーが、脚が細くても速く走れる理由は大きく2つあります。

脚が細くても速く走れるワケ
  • 筋肉が特異的に発達しているから
  • 神経系の発達が著しいから

筋肉が特異的に発達しているから

まず、脚が細くても速く走れる理由のひとつには「筋肉の特異的な発達」にあります。

なぜなら、「筋肉が特異的に発達している=身体にムダな重りがない」ということだからです。

実際、世界のトップランナーは大腿部と臀部が大きく発達しており、スプリンター並みのスピードで走ります。

「脚が細い=力が出ない」と考えがちですが、逆にボディビルダーのような体型では長距離を速く走り続けることはできません。

全身が筋肉に覆われているのではなく、むしろ必要な筋肉だけが特異的に発達しているからこそ、長距離を速く走れるのです。

神経系が発達しているから

また、脚が細くても速く走れる理由としては「神経系の発達」が挙げられます。

なぜなら、神経が発達するとより少ないエネルギーで大きな力を出せるようになるからです。

すべての筋線維は神経とつながっています。

そして、末端で枝分かれして1つの神経が複数の筋線維を支配しています。

これを運動単位といいます。

脚が細くてもトップランナーが速く走れるのは、この運動単位が大きいからです。

彼らの身体は1つの神経につながっている筋線維の数が多いので、少ないエネルギーでより大きな力を出せます。

だから、脚が細くても長距離を速く走り切れるのです。

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ジョグの後に10秒程度のながしを数本行うのも、神経系の発達に効果的です!

ランナーの筋肉は大きく2種類

そもそも、ランナーの筋肉は大きく2種類に分けることができます。

ランナーの筋肉
  • タイプⅠ線維
  • タイプⅡ線維

それぞれ詳しく解説していきます。

タイプⅠ線維

タイプⅠ線維はいわゆる遅筋線維と呼ばれるものです。

この筋繊維には収縮スピードは遅いが疲れにくいという特徴があります。

また、タイプⅠ線維にはミオグロビンという色素たんぱく質が多く含まれています。

そのため、筋線維の色が赤いのも特徴です。

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マグロが赤身なのもミオグロビンによる影響です!

ミオグロビンはヘモグロビンから酸素を受け取って結合し、運動時に酸素が使われるまで体内に貯蔵しておくことができます。

また、タイプⅠ線維には毛細血管が多いため、筋細胞へ酸素を多く届けることができます

タイプⅠ線維は持久力が高いため、中長距離種目において非常に重要な筋線維です。

タイプⅡ線維

タイプⅡ線維は速筋線維と呼ばれるものです。

収縮速度が速く大きな力を出せるのが特徴です。

一方、ミオグロビンが少ないことから色が白っぽく、持久性に乏しいという特徴もあります。

さらに、タイプⅡ線維はタイプⅡa線維タイプⅡb線維の2つに細分化することができます。

タイプⅡb線維は、素早い動きや瞬間的に力を出すのに適しています。

しかし、疲労耐性があまりなく、数分間収縮を続けると力が出なくなってしまいます。

一方、タイプⅡa線維は速筋繊維の性質を持ちながら、持久性にも優れているという筋繊維です。

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タイムが伸び悩んでいる人も、タイプⅡa線維を強化すれば現状打破が期待できます!

筋線維タイプの移行

実は、タイプⅡa線維はトレーニングによりその割合を増やすことができます

持久系トレーニングをおこなうことで、タイプⅡb線維がタイプⅡa線維へと変化するのです。

先述のとおり、タイプⅡa線維は速筋性と持久性を併せ持つ非常に優れた筋肉です。

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「自分にはスピードが無いから速いペースは苦手…」という人こそ、タイプⅡa線維を増やしましょう!

ただし、トレーニングを中断すると一度変わったタイプも元に戻ってしまいます

故障などで練習を長期間休むと、調子を戻すのに時間が掛かるのはこのためです。

そのため、普段から身体のケアを怠らず、継続してトレーニングを積めるようにしましょう。

まとめ:筋肥大を起こさずに運動単位を大きくしよう

今回は「ランナーの筋肉」や「プライオメトリクストレーニング」について解説してきました。

中長距離ランナーが取り組むべき筋トレをまとめると、以下のとおりです。

まとめ:中長距離ランナーの筋トレ
  • タイプⅡa線維を増やす
  • 筋肥大は避ける
  • 運動単位を大きくする
  • プライオメトリクストレーニングを中心におこなう

筋力をアップさせる方法は筋肥大だけではありません。

1つの神経により多くの筋線維がつながれば、見た目以上に力を出せるようになるのです。

タイムが伸び悩んでいるときなど、ぜひプライオメトリクストレーニングを試してみてください。

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Y

陸上ブログの”Y-RUNNING.COM”を運営している” Y”といいます。詳しいプロフィールはこちら。この記事が気に入ったら、Twitterなどでシェアしてもらえると嬉しいです!

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